オートミールと食物繊維

オートミールには食物繊維が多く、健康に良いです
オートミールと食物繊維

オートミールとはどういうものか

オートミールは西欧においてはよく食べられていますが日本においてはまだなじみが薄く、よく知られていないのが現状です。

オートミールは食物繊維を多く含み、コレステロールを減少したり、動脈硬化や糖尿病を予防したり、便通を良くするなど健康に良い食品です。

オートミールは穀物ですが、オートミールが畑に生えているわけではありません。

生えているのはオーツ麦なのです。このオーツ麦は食物繊維を多く含みますが、これを加工してオートミールを作っています。

オーツ麦は昔、小麦畑の雑草でした。冷害の年、残ったのはこの雑草だけでした。

困った人々はこの雑草を食べてみることにしました。煮込むのに大変長い時間を要しましたが結構お腹がふくれ、食べられることがわかりました。

冷害でもオーツ麦が生き残れたのは食物繊維が多く、丈夫だったからだろうと思われます。

ちょっと大麦に似た外観をしていますが、そのモミ殻を取り除いて中の実を取り出してぐつぐつと煮続けるとはじめて食べられる状態になります。

昔の人なら仕方もなかったのですが、現代の人はそのように長時間をかけて調理することは好みません。もっと短時間で調理できるようになればこのオーツ麦は優れた食品となるわけです。

そこで、メーカーにおいて色々な加工を施し、短い時間で調理できるようにしたものがオートミールです。

すなわちオートミールというのはオーツ麦に何らかの加工を施して短時間で調理できるようにしたものです。

しかしもともとがオーツ麦であり、食物繊維をたくさん持っていますので加工されたとはいえオートミールもたくさんの食物繊維を含んでいるわけです。

オートミールの種類

オーツ麦の実を加工したものがオートミールですが、その加工の程度によっていろいろのオートミールになります。

詳しくはこのサイトの「オートミールの種類」の項で解説していますが、大体のことをここでも述べてみます。

モミ殻を取り除いたオーツ麦の実を2〜3個にひき割っただけのオートミールはスチールカットといわれます。表面積が増えますので、水分が内部に達する時間が早くなり調理しやすくなります。当然食物繊維は最初の状態と何も変わっていませんし、歯ごたえや触感もほとんどひき割る前の状態と変わりません。本格的オートミール粥を作る時などに用いられます。

ロールドオーツというオートミールがあります。

これは過熱しながらローラーの間を通して平たくつぶしたものです。一見大麦の実のようになっています。このオートミールはずいぶん短時間で調理することができます。

若干歯ごたえは柔らかめになります。やはり食物繊維は減少していません。

さらにインスタントオートミールというオートミールがあります。スーパーで売っているとすればたいていの場合このインスタントオートミールです。

ロールドオーツとしたものをさらに細かく砕いたのち、蒸気で蒸したり、茹でたりしてとにかく一度メーカーで加熱調理してしまいます。その後からからに乾燥させてしまったものです。

昔の武士たちが、ご飯を乾燥させて腰につけて戦場に出かけたといわれる干し飯のようなことになります。

インスタントオートミールはオーツ麦を一度調理して乾燥させたものです。食物繊維は変わりませんが歯ごたえは柔らかくなります。

すでに火を通してありますから、そのままパリパリ食べることもできますが、あまりおいしくはありません。たいていの場合何らかの味付け調理を行います。

このほかにもいろいろの加工方法があり、色々のオートミールがあります。

しかしどのオートミールにも食物繊維はたくさん入っています。


食物繊維とはどういうものか

食物繊維というのはごぼうの筋のようなものと思ったら間違いです。たしかにそれも食物繊維には違いありませんが、食物繊維はもっと広い意味でつかわれる言葉です。

食物繊維というのは人間の消化酵素によっては消化吸収できない食品中の成分と定義されています。

私達が食べる食物の中には、消化されないで排せつされる成分もあるわけです。

先ほどのごぼうの筋もその一つですが、それよりもたとえばわかめの中にもたくさんの食物繊維が入っているといわれ、少々驚かされます。

わかめも良く煮込むととろとろした状態になってきますが、あのとろとろした物質はお腹の中で消化されないのです。そのまま排出されるのです。

目には見えない状態の食物繊維がたいていの食物の中には含まれています。その程度はオートミーなど食物によってまちまちなことは当然です。

この人間の消化酵素によっては消化されないということは、実はもう少し正確に言いますと、腸内に住みついている色々の菌類はそれを分解することができる場合もあります。

ですから、人間の消化酵素によっては消化されなくても、必ず排出されるとは限りません。ただ、その量は一般的にはごくわずかであり、まずほとんど排出されてしまうと考えても間違いではありません。

さて、オートミールを食べても食物繊維は消化されないのなら何の役にも立たないのではないのではないのかとお考えかもしれませんがそれは大きな間違いです。

食物繊維は消化されないからこそ大きな仕事をしてくれるのです。

オートミールを他の食品と一緒に食べたとしますと、オートミールの中にある食物繊維が他の食品の中のコレステロールに絡み付いてその吸収をさまたげ、排出する作用があります。

オートミールは食品中のコレステロールを吸収させない効果を発揮するわけです。

食物繊維は2つの種類に分けることができます。

一つは水に溶ける水溶性食物繊維と、もう一つは水に溶けない不溶性食物繊維です。

わかめの食物繊維は水溶性食物繊維ですし、ごぼうの筋は不溶性食物繊維です。後で述べますがオートミールはその両方の食物繊維を持っています。

それぞれ異なった作用を呈しますが、両方の食物繊維が協力すると一般にはよい効果を生じます。


オートミールの食物繊維

オートミール100gの中に、食物繊維は10gほど含まれており、これは穀類の中では最高レベルにあります。

食物繊維と言うのは、人の消化酵素で消化されない食品中の成分、とされていますが、その中には水に溶ける食物繊維と水に溶けない食物繊維があります。前者を水溶性食物繊維、後者を不溶性食物繊維と言います。

米にはほとんど水溶性食物繊維は含まれていませんが、オートミールの食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の食物繊維が含まれています。


水溶性食物繊維の働き

水溶性食物繊維は水分を吸収して膨張し、摂取した食品に絡みつきますので、食品中の炭水化物が消化酵素に接触しにくくなります。そのため消化吸収が遅くなり血糖値の急激な上昇を抑制します。

また、食品中のコレステロールにも絡みつき、同じように吸収を妨げ、排出してしまう効果もあります。

オートミールには水溶性食物繊維がありますので、このような作用が有ります。

私たちの食べる食物の多くは炭水化物すなわち糖質を多く含んでいる場合がほとんどです。例えばご飯は糖質そのものです。

この炭水化物は胃や腸の中で消化、すなわち分解されて単糖類にまでなって血液中に吸収されます。

要するにご飯を食べると血液中の糖濃度が急上昇するわけです。いわゆる血糖値が急に高くなるのです。

血糖値の急上昇を抑えようとして膵臓はインスリンを大量に分泌しますが、それは膵臓に負担をかけることになり、場合によっては膵臓を損傷して、インスリンが出にくくなってしまうことがあります。そうすると血糖値はいつまでも高いままとなってしまい糖尿病になってしまいます。

オートミールを普段から一緒に食べるようにしますと、オートミールの水溶性食物繊維が食物の分解吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑えてくれますので膵臓の負担を軽くします。

オートミールはその食物繊維の働きで糖尿病を予防してくれるわけです。
オートミールの水溶性食物繊維はコレステロールの排出作用があることをお話ししましたが、ある程度まで血液中のコレステロールが減少すると、蓄えていた脂肪を分解するようになります。ですからオートミールの食物繊維はダイエットに役立つのです。


不溶性食物繊維の働き

不溶性食物繊維は腸の内面を刺激し、ゼンドウ運動を活発にしますので、便通を良くします。

つまりすばやく排出する効果があります。

これらの作用は、腸内の環境を綺麗にし、便秘や腸の病気の予防に役立ちます。
オートミールにはこの不溶性食物繊維も含まれていますので、健康にも一役買うことが出来ます。

オートミールには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が両方とも含まれているため、消化吸収を遅らせるとともに排出を促すといった協調作用があるわけです。

食物繊維の摂取基準

これまでの研究結果では、一日に必要な食物繊維の摂取量は、20〜25gと言われます。

しかしこれだけの量の食物繊維を摂ろうとしますと、通常の食事の場合、2000〜2500kcalとなってしまい、現在の日本人の平均的摂取量よりも多くなってしまいます。

「日本人の食事摂取基準」では、その点を考慮し、腸の健康や、生活習慣病予防などをも勘案して、目標量と言うのが設定されています。それによりますと、男性で20g、女性で17gとなっています。

目標値はその様ですが、現実の現在の摂取量は男女とも13g程度しか摂っていません。

もう少し日本人は食物繊維を摂るようにした方が良いと言えるでしょう。

西欧ではオートミールが普通に食べられています。しかし日本ではまだオートミールはあまり普及していないのが現状です。

昭和の時代、昭和天皇が好んでオートミールを食されていたというのは有名な話です。オートミールを食されるとは本当に進んだお考えをお持ちだったのではないでしょうか。

オリゴ糖

オリゴ糖は糖なのでしょうか、食物繊維なのでしょうか。

オリゴ糖は単糖類が数個つながったものですが、人の身体で消化しにくい難消化性のオリゴ糖もあり、これは食物繊維に分類されています。

その一つが、フラクトオリゴ糖で、消化吸収されないまま大腸まで届き、腸内細菌の栄養になります。その結果、特に善玉菌を増やし、腸内の環境を綺麗にしてくれます。

カルシュウムの吸収を良くしてくれたり、便秘の解消にもなります。

このようなオリゴ糖には、厚生労働省からトクホ(特定保健用食品)として認定されているものもあります。


ココアの食物繊維

ココアはお茶やコーヒーのように抽出して飲むものではありません。お湯に溶かして全量を飲みます。

すると、意外なことに、ココアは非常に沢山の食物繊維を供給してくれるのです。

ココアの食物繊維含有量は、100g当たり24gもあります。オートミールも顔負けです。

食物繊維の摂取と言う観点からはココアやオートミールが良いわけですが、ではそれだけを飲んだり食べたりしていればいいかと言いますと、決してその様なことはありません。

色々な食品を数多く摂ることによって、栄養の偏りをなくさなくてはなりません。

巷に言われていますバナナダイエットなどは私はお薦めできません。一日中バナナだけ食べていて栄養のバランスが保てるとは思えないからです。